できる社長の保険戦略「借入対策としての保険の活用① 保険が必要ない借入金」
社長が保険に入る目的として、まず挙げられるのが、「借入対策」ではないでしょうか。
保険の担当者も「社長に何かあったら、借入金を返済できなくなってしまう可能性が高くなりますよ。。」と提案されると思います。
確かに、経営者が連帯保証をしている借入であれば、会社に問題が発生した時、経営者個人に返済義務が生じますので、資産が差し押さえられ、競売されてしまうなどといったリスクもあり得ます。
しかし、借入があるイコール保険が必要、という訳でもありません。今日はここについてご説明します。
そもそも会社が必要になる資金には3つの種類があります。
それぞれ、①運転資金、②設備投資資金、そして③損失資金になります。
今日はこの1番目の運転資金に関することですが、先に結論で言いますと、運転資金のための借入に対しては、保険による保障は必要ありません。
運転資金とは、事業を行う上で必要となる資金を指します。端的に説明すると、売掛金・受取手形と在庫・棚卸分の金額が現金や預金に換金されるまでの間、事業を継続させるのに必要な資金です。
さらに分かりやすく式にすると、
・売掛金=貸しているお金
・棚卸資産=寝ているお金
・買掛金=借りてきているお金
であり、
(貸しているお金)+(寝ているお金)-(借りているお金)=【運転資金】 となります。
お金の流れの中にある、つなぎのための資金と言えます。
本来は手持ちの資金や利益で賄うことができればベターですが、状況により、借入で賄うことがあります。
しかし、たとえ社長に何かあったとしても、事業が継続できる返済原資(貸しているお金+寝ているお金)が明確に見えている場合であれば、銀行が手のひらを反すように返済を要求をしたり、返済を要求したり、取引を拒絶したりすることは、よほど企業の信用状態に問題がない限り考えられません。
もちろん、絶対はありませんし、今後運転資金は借入なくても乗り切れるような体制をつくる準備としてリスクヘッジするという判断もありますが、運転資金に対する保険の活用は無くても問題ないと言えます。